お役立ちコラム
天井落下の原因とは?尊い人命を守るために天井落下防止対策を学ぶ
東日本大震災の際には、各地で天井落下の被害が発生しました。それを受けて政府は、新たな安全基準を設置し、天井落下防止対策に乗り出しました。ところが震災後も地震が発生する度に、天井落下のニュースが相次いで報道されています。なぜ天井落下被害は繰り返されるのでしょうか?天井落下被害を防ぎ尊い人命を守るには、天井落下の原因を把握し、適切な対策を行うことが大切です。
この記事では、天井落下の原因と天井落下防止対策について分かりやすく解説します。
目次
相次ぐ天井落下のニュース
2011年(平成23年)3月11日に東日本大震災が発生しました。その後も大きな地震が相次ぎ、震度6強から震度7の規模では以下のものが発生しています。
2011年3月12日 | 長野県北部地震 |
同年3月15日 | 静岡県東部地震 |
同年4月7日 | 宮城県沖地震 |
2016年4月14日・4月16日 | 熊本地震 |
2018年9月6日 | 北海道胆振東部地震 |
東日本大震災の際には、各地で天井落下の被害が生じました。こうした被害を受けて政府は、2014年に建築基準法を改正し、天井の安全基準を強化しました。ところが、その後も天井落下の被害は散見され、東日本大震災からほぼ10年目の2021年2月13日に発生した福島県沖地震では、福島県で天井落下の被害が報告されています。
天井落下の原因とは?
天井落下の原因は、表面的には「クリップの弱さ」「ハンガーの変形」など、天井を構成する部材の強度が不足していることが考えられます。しかし、天井落下の根本的な原因は、「適切な耐震設計がなされていないこと」です。適切な耐震設計がなされてさえいれば、それに見合う強度の耐震部材を使用することになるため、天井の落下を抑止できます。つまり、天井落下被害を防ぐには、適切な耐震設計を行い、十分な施工を実施することが重要なのです。
天井落下防止対策
天井落下被害を防ぐには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、天井落下防止対策の3つのポイントをご紹介します。
東日本大震災後に設けられた新たな安全基準
東日本大震災における天井落下の被害が大きかったため、政府は吊り天井に関する新たな安全基準を設けました。政府が設けた安全基準が適用される吊り天井は、「特定天井」と呼ばれます。
「特定天井」とは、「脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天井」と定義され、以下の条件に当てはまるものをいいます。
- 吊り天井であること(直天井は特定天井に該当しません)
- 天井の高さが6m超
- 面積が200㎡超
- 質量が2kg/㎡超
- 人が日常的に利用する場所(体育館など)に設置されていること
新たな安全基準では、「吊り天井を軽くすること」または「吊り天井を補強すること」が求められます。
天井の耐震診断
地震で落下したり破損したりした天井だけでなく、壊れていない天井も要注意です。一見壊れていないように見える天井でも、天井裏では大きく破損している場合があり、「地震でも壊れなかった」と安心はできません。天井の破損状況は下から見上げるだけでは分からず、点検口などから直接確認しても、専門家でないと破損に気付けないケースが多いのです。こうした気付きにくい破損をチェックするには、天井の耐震診断が欠かせません。地震発生後は極力早めに専門家に調査を依頼し、天井裏に破損・変形・緩みなどがないかを確認するようにしましょう。建築基準法第12条では、不特定多数の人が利用する大きな建物の所有者には、定期的に検査を行うことが義務付けられています。
耐震天井の構築
天井の耐震診断が適切に行われると、その建物にもっとも適した耐震天井を施工することができます。耐震天井の施工では、「パーツの補強」「ブレースの設置」「クリアランスの確保」の3点を満たすことが重要です。
パーツの補強
地震の振動で力が加わると、補強していないパーツ(クリップやハンガーなど)が動いてしまったり、変形して外れてしまったりするおそれがあります。耐震性の高いパーツをビスやボルトを使って固定することで、地震時に力が加わっても外れにくくなります。
ブレースの設置
吊り天井を横から見ると、吊りボルトと天井面で四角形を構成しています。このままの状態では横からかかる力に弱いため、天井全体が横に揺れてしまいます。ブレースを設置して三角形を作ることで、地震時に横からかかる力に耐えられるようになり、横揺れを防ぐことが可能です。
クリアランスの確保
天井と壁との間にクリアランス(隙間)を確保することで、天井が周囲の壁に衝突するのを防ぐことができます。室内から天井を見上げた時にクリアランスが見えないように、見切り材と呼ばれる部材で隠されているケースが多いです。
天井落下防止のために「膜天井」を
天井落下防止のために、吊り材が不要な「膜天井」を採用するという選択肢もあります。膜天井は、大空間であっても特定天井に該当せず、重い補強材を使わないため、万が一落下した際にも危険を減らすことができます。また、優れたデザイン性を持つことも膜天井の特長です。天井落下防止対策として、「軽い」「柔らかい」「強い」という3つの優れた特長を持つ膜天井の採用を検討されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
以上、天井落下防止対策について解説いたしました。天井落下を防ぐには、適切な耐震診断を行った上で、強固な耐震天井を施工することが大切です。地震はいつ発生するか分かりません。いざという時に尊い人命を守れるように、しっかりと対策を行っておきましょう。
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